注目の論文
精巣胚細胞がんに影響を及ぼす遺伝的多型
Nature Genetics
2010年6月14日
Varients influence testicular germ cell cancer
15~45歳の男性に最も多いがんである精巣胚細胞がん(TGCT)の感受性に関連する遺伝的多型について報告する論文が、Nature Genetics(電子版)に掲載される。
C Turnbullらは、979症例を対象にしたTGCTのゲノムワイド関連解析を行い、さらに、別の664症例を対象とした追解析で当初の解析結果を再現した。今回の関連解析では、TGCT感受性に関連する3つのゲノム領域が新たに同定された。これらの領域には、テロメアの調節に関与するTERTとATF7IPという2つの遺伝子がそれぞれ含まれており、これらの遺伝子がTGCT感受性に関連している可能性がある。テロメアとは、染色体の末端にある反復DNA領域のことで、多くのタイプのがんではテロメアが異常に短くなっている。テロメアの長さを調節するテロメラーゼは、多くのがん細胞や精巣胚細胞で高発現する。テロメラーゼの成分をコードするTERT遺伝子もその他のいくつかのタイプのがんとの関連が認められている。そして、今回、TGCT感受性に関連することが明らかになった第三の遺伝的領域には、性決定遺伝子DMRT1が含まれている。この遺伝子は、精巣の決定と分化に関与していると考えられてきた。
doi: 10.1038/ng.607
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