注目の論文
免疫細胞の“歩行”の調節役
Nature Immunology
2010年5月17日
Regulators of immune cell ‘walking’
組織を“歩き回る”免疫細胞を制御する分子が同定された。
免疫細胞は血液中を旅して回り、感染や炎症の際に発せられるシグナルに応じて組織へと入る。血流から出ると、細胞は丸形から変形して細長い形になり、シャクトリムシのような、あるいはイモムシのような動きで組織へと入っていく。感染組織でのこのような方向性をもった移動には、“前へ一歩踏み出す動き”と“ 足を離す動き”の綿密な協調が必要である。
Andy Lusterたちは、このような移動が起こるように細胞の“足”が前に進んだり離れたりするのに必要な、シナトタグミン(SYT)とよばれる数種類の調節分子を同定した。化学誘引物質とよばれる化学的な“手がかり”に反応して移動中の細胞内ではカルシウムの流れが生じるが、これらの分子はこのカルシウムの流れに感受性を示す。SYT7あるいは類似のシナトタグミン様分子SYTL5をもたない細胞は移動ができず、まるで足が地面にくっついて離れないかのような挙動を示した。SYT2をもたない細胞は速く移動し、うまく止まれなかった。
SYT7をもたない痛風モデルマウスでは、痛む組織へ動員される炎症細胞の数が少なくなる。著者たちは、ヒトの免疫不全疾患の1つで免疫細胞の移動に異常があるチェディアック・東症候群に、このSYTの異常が関係しているのではないかと述べている。
doi: 10.1038/ni.1878
注目の論文
-
10月3日
神経科学:ショウジョウバエの脳の完全な地図Nature
-
9月26日
ウイルス学:牛のH5N1型インフルエンザは搾乳によって広がる可能性があるNature
-
9月26日
進化:哺乳類の顎関節の起源を調査するNature
-
9月24日
生態学:タコと魚の狩猟グループにおける共同リーダーシップNature Ecology & Evolution
-
9月19日
気候変動:将来の干ばつは予想以上に長期化する可能性Nature
-
9月17日
神経科学:妊娠に伴う脳の変化を調査するNature Neuroscience