注目の論文
加齢に伴う遺伝子変異のある精子と精巣腫瘍の関連
Nature Genetics
2009年10月26日
Age-related sperm mutations associated with testicular tumors
まれなタイプの良性精巣腫瘍が、集団の平均年齢より高齢の父親から遺伝するような父性加齢効果のみられる変異に起因する遺伝子変異に関連することが明らかになった。Nature Genetics(電子版)に掲載される論文によれば、致命的な新生児疾患である致死性異形成症(TD)の原因となる父性加齢効果のみられる遺伝子変異が、この良性精巣腫瘍の原因にもなっていることが示されている。
オックスフォード大学(英国)のA Wilkieらは、父性加齢効果のみられる遺伝子変異の場合には、遺伝子変異のある精子に増殖優位性が生じると考えられていることから、こうした精子が精巣腫瘍の発症にも結びつく可能性があるという仮説を立てた。そして、精母細胞性セミノーマ(平均発症加齢が54歳前後のまれなタイプの良性精巣腫瘍)の試料30点を解析した。その結果、2例の精母細胞性セミノーマで、TDを引き起こすFGFR3遺伝子の変異を見いだした。
また、さまざまな年齢の健康な男性から採取した精子のDNAの塩基配列解読では、父親の年齢が上がるにつれてFGFR3遺伝子の変異が増えることが判明した。このようにしてWilkieらは、精子に含まれるFGFR3遺伝子の変異という細胞事象によって子孫に遺伝性疾患が生じ、本人の精巣腫瘍のリスクも高まる場合があることを明らかにした。
doi: 10.1038/ng.470
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