注目の論文
多発性硬化症のバイオマーカー
Nature Immunology
2009年10月19日
Possible multiple sclerosis biomarker
小型のRNA分子が、多発性硬化症(MS)患者の再発に対して正の関連性をもつとの報告が寄せられている。このRNA分子はMSのバイオマーカーになる可能性があり、またMSの治療に役立つ可能性もある。
マイクロRNA(miRNA)とよばれるこの短鎖RNA分子は、翻訳されていないmRNAの相補的領域に結合して、タンパク質への翻訳を阻害する。G Peiたちは、ヒトのこのようなマイクロRNAの1つmiR-326の量が、MSの症状の現れと正の関連性を示すことに気付いた。MSのマウスモデルでmiR-326の量を操作すると、miRNAの発現の増加や減少に応じて、MSの症状がそれぞれ悪化、軽減された。
Peiたちは、サイトカインの一種インターロイキン17を生産するヘルパーT細胞を阻害するタンパク質の生産を、このmiR-326が阻害することを明らかにした。このインターロイキン生産細胞は、MSにかかわりがあることがこれまでに知られている。miR-326量を測定すれば、MSの有用な診断指標になるかもしれない。また、ヒトでmiR-326を阻害できる方法が見つかれば、今回の発見が、MS患者のインターロイキン17生産細胞数を減らす治療の開発に役立つ可能性もある。
doi: 10.1038/ni.1798
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