注目の論文
HIVが「トロイの木馬」を送り込む
Nature Immunology
2009年8月3日
Trojan horse' deliveries by HIV
HIV感染した免疫細胞が細い管状の構造を長く伸ばして、ウイルス由来の阻害性タンパク質をHIV感染していない免疫細胞へと送り込み、機能を失わせることが発見された。この報告により、HIVが免疫系を混乱させる仕組みの一端が明らかになった。
HIV由来のNefタンパク質はHIVに対する中和抗体の生産を阻害するが、抗体生産を担うB細胞自体にはHIVは感染しないので、どのような仕組みで抗体生産阻害が起こるのか、これまでは不明だった。A Ceruttiたちは、Nefが引き金となってナノチューブ様の構造が形成され、NefをB細胞をはじめとする多の免疫細胞へと運ぶことを明らかにした。
この新しい発見によって、HIV自体が感染しなくても、Nefタンパク質がB細胞へと運ばれ、その機能を停止させるのはどうしてかが説明できる。Ceruttiたちは、免疫抑制能をもつNefタンパク質をこっそり運び込むこのやり方を、免疫回避の「トロイの木馬」とよんでいる。
doi: 10.1038/ni.1753
注目の論文
-
5月29日
社会科学:研究テーマの変更は被引用数の減少につながるかもしれないNature
-
5月28日
古生物学:クジラの骨から作られた最古の道具の証拠Nature Communications
-
5月27日
生態学:世界的に過小評価されている外来種のコストNature Ecology & Evolution
-
5月22日
微生物学:効果的な新しい抗マラリア薬は寄生生物を標的とするNature
-
5月21日
医学:非接触型無線モニタリングによる心臓不整脈の検出Nature Communications
-
5月20日
人工知能:大規模な言語モデルは、オンライン討論において人間よりも説得力を持つことができるNature Human Behaviour