注目の論文
探索を探究する
Nature Neuroscience
2009年7月21日
Exploring exploration
今まで続けてきたとおりにするか新しいやり方を試すか、選んだ結果が不確定なとき、人はどうやって決断するのだろうか。M Frankらは、現在の戦略が不確かな場合、人が代わりの戦略を探そうとする見込みがどれくらいあるかをドパミンの分解を制御する遺伝子で予測できることを示している。
以前の研究で、前頭前野という額のすぐ後ろの部分にあるCOMT(カテコールO-メチルトランスフェラーゼ)遺伝子は神経伝達物質ドパミンの量を制御することがわかっている。この遺伝子の一型(バリンを指令する)をもつ人はCOMT酵素活性が高く、その結果他の型(メチオニンを指令する)をもつ人よりドパミン量が低下する。
Frankらは、COMT遺伝子型が同定されている被験者に、時計を止める時機を決めるという単純な課題を行わせた。被験者は応答時間に基づいて得点が与えられるが、それが得られるのは応答が早いときか遅いときか知らされなかったので、試行錯誤で最善の応答戦略を見つけなければならなかった。被験者が得点を手に入れる最善の戦略が何か知らない場合は、バリン型遺伝子よりメチオニン型遺伝子をもつ人ほど別の戦略を探そうとした。
代替戦略を探し出そうとする人の数をCOMTの型ごとに、また戦略の不確実性ごとに数量化する数学的モデルが作製された。この研究は、脳のドパミン機能を調節する遺伝子が我々の意思決定に重要な影響をもたらすことを示唆する一連の証拠を補強するものである。
doi: 10.1038/nn.2342
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