注目の論文
ヒト細胞の内部をのぞく
Nature Chemical Biology
2013年3月4日
Seeing inside human cells
生きているヒト細胞の内部でタンパク質の折りたたみおよび成熟が進行するようすを追跡する優れた方法が、今週オンライン版に掲載される。この研究は、基礎的な細胞過程を考えるうえで重要な意味を持つとともに、アルツハイマー病のようなタンパク質折りたたみ異常疾患の新たな解明法をもたらす可能性もある。
核磁気共鳴(NMR)分光分析法は、タンパク質内のアミノ酸の構造および可動性を明らかにすることができる重要な生物物理学的技術であり、従来は細菌細胞内に大量に存在するタンパク質の観察に利用されてきた。しかし、ヒトのタンパク質の多くは細菌細胞に存在しないヘルパータンパク質や特殊な環境条件を要求するため、細菌細胞からタンパク質折りたたみの実像を得ることはできない。Lucia Banci、Radu Aricescuたちは、NMRがヒト細胞にも応用可能であることを示す優れた方法を開発し、その方法を用いて重要な抗酸化タンパク質であるスーパーオキシドジスムターゼ1(SOD1)の適切な折りたたみを追跡した。研究チームは、SOD1への的確な金属の挿入に予想どおりヘルパータンパク質CCSが必要とされることを見いだしたが、意外にもそのステップは、精製タンパク質を用いた実験からの予測とは異なり、隣接するジスルフィド結合の形成には依存しなかった。
doi: 10.1038/nchembio.1202
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