注目の論文
白血病の治療抵抗性の原因となる変異を解明
Nature Medicine
2013年2月4日
Understanding treatment resistance-causing mutations in leukemias
急性リンパ性白血病(ALL)がどのようなしくみで再発し、化学療法に対する抵抗性を獲得するかを説明できる酵素レベルの機構が明らかになった。
ALLの標準治療はヌクレオシド類似体投与で、これがDNA合成を混乱させ、DNA損傷と腫瘍細胞の細胞死を引き起こす。患者の約90%は最初に寛解を見るが、その後かなりの割合で病気が再燃し、この種のヌクレオシド類似体薬に反応しなくなる。
Adolfo Ferrandoたちは、化学療法抵抗性の患者から得たDNAコード配列を最新のシークエンシング技術を利用して調べ、ALL細胞の細胞質5′-ヌクレオチダーゼII(NT5C2)遺伝子に新たに変異が生じているのを突き止めた。この遺伝子は、ヌクレオシドやヌクレオシド類似体薬の代謝にかかわる酵素をコードしている。その結果生じた変異酵素はこれらの化学療法薬を不活性化する能力が上昇していることから、ALL細胞は化学療法に対抗して自身のヌクレオシド代謝系をつくり直せることが判明した。
別のタイプのヌクレオシド類似体薬があって変異NT5C2の作用を受けないので、これを処方に取り入れれば、このような変異をもつALL患者でも病気の再燃を妨げられるかもしれない。
doi: 10.1038/nm.3078
注目の論文
-
5月9日
生物学:人為起源の地球規模の変化が感染症伝播リスクに影響を及ぼしているNature
-
5月8日
生態学:マッコウクジラの複雑な鳴音を調べるNature Communications
-
5月7日
遺伝学:APOE4遺伝子バリアントはアルツハイマー病の他とは異なる遺伝的タイプである可能性があるNature Medicine
-
5月3日
動物学:薬用植物を使って創傷治療を行う野生動物が初めて報告されるScientific Reports
-
5月3日
進化学:地球の磁場が弱くなっていたために地球上の生物の多様化が進んだのもしれないCommunications Earth & Environment
-
5月2日
人類学:長期的レジリエンスは苦難によって構築されるNature