注目の論文
生態:出口のない虫こぶに生息するアブラムシの排泄物廃棄
Nature Communications
2012年11月14日
Ecology: Aphids take the rubbish out when there’s no front door
宿主植物の中で、完全に閉鎖された「虫こぶ」を巣として生息するアブラムシが、その植物の細胞壁を使って、排泄物の廃棄を行っていることを報告する論文が、今週、Nature Communicationsに掲載される。この研究結果は、このアブラムシが数か月にわたって外界から孤立した生活を送る過程を説明しており、宿主植物を利用して巣の掃除をするように進化した過程に関する手がかりをもたらしている。
アブラムシ類などの昆虫は、宿主植物の中にふくらみ(虫こぶ)を形成し、この虫こぶが、その昆虫にとっての巣となり、食料源として機能している。多くの場合、虫こぶには開口部があり、採餌、防御、排泄物の廃棄が楽にできるようになっている。ところが、数百匹から数千匹規模の社会性アブラムシのコロニーの一部では、虫こぶが完全に閉鎖しており、排泄物の蜜が虫こぶにたまり、その廃棄が問題となる。今回、深津武馬(ふかつ・たけま)たちは、開放型と閉鎖型の虫こぶを形成するアブラムシ種を比較研究した。その結果、閉鎖型の虫こぶの内側の表面が水分の吸収に特化していることがわかった。これによって、排泄物の蜜が、宿主植物の維管束系を介して排出され、明確な廃棄物処理口がないという問題が解決されているのだ。
doi: 10.1038/ncomms2187
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