注目の論文
どんな名前で呼ばれてもバラはバラ
Nature Neuroscience
2008年11月3日
A rose by any other name
嗅皮質の神経細胞は類似した匂いに対して同じような神経応答を誘起するよう発火パターンを調整できることが、Nature Neuroscience(電子版)の研究で報告されている。このことから、同じ花でも厳密には1つとして同じ匂いはないのに、「バラ」という1種類の香りとして認知できる理由が示唆される。
D Wilsoらは、最大10種類の混合臭に対する、ラットの嗅球にある神経細胞の応答を記録した。混合臭に対する神経細胞群の応答は、混合臭の組成に依存し、たった1つの成分によっても異なることがわかった。しかし嗅球から投射される嗅皮質神経細胞群の応答は、同種の匂いどうしを1つにまとめたパターン補完の形を示した。ラットでは、嗅皮質でよく似た神経活動パターンを誘起した混合臭は、同種の匂いと判断されやすかった。
このパターン補完の機構は、匂いにはわずかな差異があるにもかかわらず、我々が安定した知覚を維持している方法を示唆する。
doi: 10.1038/nn.2217
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