注目の論文
同じ匂い
Nature Neuroscience
2012年8月13日
Smells the same
嗅覚が阻害されると香りに対する応答活動が変化するが、いったん嗅覚が回復するとこの変化は迅速に逆転する。以前の研究では、匂いの遮断に伴 う知覚の変化に対して嗅覚系には比較的抵抗性があると示唆されていたが、今週のNature Neuroscience誌に発表される論文は、この安定性は実際のところ、これを埋め合わせる脳内での急速な変化によるものだと示唆している。
Keng Nei Wuらは、被験者の鼻孔を完全にふさいで嗅覚入力を制限し、病院の匂いの少ない病棟で1週間を過ごさせた。嗅覚遮断の前と直後とで、匂いの知覚はおおむね 変化がなかった。ところが、匂いに対する脳活動は変化していた。遮断に伴って、被験者の脳活動は眼窩前頭皮質で増加し一次嗅皮質で減少してい た。Wuらは、この組み合わせ変化が知覚の安定を支えているのかもしれないと述べている。
遮断実験の1週間後、匂いに対する脳の応答は実験前の水準に戻り、遮断に誘導された変化は急速に逆転したことを示している。視覚などのほかの 感覚系では遮断の影響が長く続くのと比べ、このような急速な逆転は大きく異なっている。嗅覚系ではウイルス感染やアレルギーに起因する遮断が 珍しくなく、このため嗅覚系が異なるのだと示唆されている。
doi: 10.1038/nn.3186
注目の論文
-
11月14日
医学:豚からヒトへの腎臓移植の長期経過観察Nature
-
11月14日
生態学:鳥インフルエンザがサウスジョージア島の繁殖期のゾウアザラシ個体数を半減させるCommunications Biology
-
11月13日
気候変動:ムンバイにおける異常降雨に関連した不均衡な死亡率Nature
-
11月11日
加齢:多言語使用は老化の加速を防ぐかもしれないNature Aging
-
11月11日
バイオテクノロジー:超音波がマウスの脳卒中後の脳内残留物を除去するのに役立つNature Biotechnology
-
11月6日
神経科学:時間の経過とともに発達する脳の変化を解明するNature
