注目の論文
統合失調症治療薬の効果を改変
Nature Neuroscience
2012年8月6日
Modifying responses to antipsychotic drugs
統合失調症治療薬を長期にわたって用いる治療は、DNAに巻きついているヒストンというタンパク質の修飾を誘導し、治療薬の効果を妨げる可能性がある。マウスを用いたこの研究結果は今週のNature Neuroscience誌オンライン版に発表され、ヒストン修飾を阻害すれば薬の効き方を改善できる可能性が示唆されている。
Javier Gonzalez-Maesoらは、統合失調症治療薬を長期間投薬したマウスではヒストンが修飾された結果、前頭皮質のグルタミン酸受容体の発現低下が起こっていることを報告した。またグルタミン酸受容体の減少に伴い、統合失調症様行動が増加した。マウスにこのようなヒストン修飾を阻止する薬を投与すると、これとは逆の効果があった。
以前の臨床研究で、統合失調症治療薬をバルプロ酸(ここで問題としているヒストン修飾を防ぐ効果が知られる)と併用すると、統合失調症治療薬の治療効果が高まることがわかっている。今回の研究結果は、バルプロ酸(およびヒストン修飾を標的とする他の薬)が統合失調症治療薬の治療効果を高める仕組みを示唆している。
doi: 10.1038/nn.3181
注目の論文
-
11月14日
医学:豚からヒトへの腎臓移植の長期経過観察Nature
-
11月14日
生態学:鳥インフルエンザがサウスジョージア島の繁殖期のゾウアザラシ個体数を半減させるCommunications Biology
-
11月13日
気候変動:ムンバイにおける異常降雨に関連した不均衡な死亡率Nature
-
11月11日
加齢:多言語使用は老化の加速を防ぐかもしれないNature Aging
-
11月11日
バイオテクノロジー:超音波がマウスの脳卒中後の脳内残留物を除去するのに役立つNature Biotechnology
-
11月6日
神経科学:時間の経過とともに発達する脳の変化を解明するNature
