トウモロコシ品種のゲノムにおける配列多様体の大量同定
Nature Genetics
2012年6月4日
A crop of genetic variants in maize
世界中のさまざまなトウモロコシ品種についてリシーケンシングが行われ、その結果を報告する3編の論文が、今週、Nature Genetics(オンライン版)に掲載される。これらの研究では、大量の配列多様体が同定されており、今後、トウモロコシに関係する遺伝学者と育種家がさらなる収量増大を図るうえで役立つと考えられる。
重要な穀物の一つであるトウモロコシのゲノムは、ほぼヒトゲノムに匹敵するほど非常に大きく、多様性はヒトゲノムをかなり上回っている。このトウモロコシの極めて豊かなゲノム多様性の特徴を包括的に調べることは、技術的に大変難しかった。
今回、D Wareたちは、103系統のトウモロコシ(改良系統60、在来種23、野生近縁種19を含む)のリシーケンシングを行い、トウモロコシの姉妹属であるイースタンガマグラス(Tripsacum dactyloides)の塩基配列も得た。その結果、5千5百万個の一塩基多型が同定されたが、これは、トウモロコシの遺伝学と育種に関係するコミュニティーにとって大きな情報資源となる。一方、J Ross-Ibarraたちは、このデータセットを解析して、栽培化の初期に選択されたゲノム領域とその後のトウモロコシ在来種の改良の際に選択されたゲノム領域を同定した。また、野生種から現代のトウモロコシへの転換の際に選択されたと考えられる多数の遺伝子も同定された。
さらに、J Laiたちは、278系統のトウモロコシについてリシーケンシングを行った。そして、これらの多様なトウモロコシ系統にみられる配列多様性の特徴を包括的に調べ、トウモロコシの栽培化の際に選択のあったことを示す証拠が含まれる多数のゲノム領域を同定した。
doi: 10.1038/ng.2313
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