注目の論文
潰瘍性大腸炎の危険因子
Nature Genetics
2008年10月6日
Risk factors for ulcerative colitis
一般的な炎症性腸疾患である潰瘍性大腸炎の素因となる遺伝子多型が同定された。この成果を報告する研究論文がNature Genetics(電子版)に掲載される。
潰瘍性大腸炎は、腸の一般的な炎症性疾患の1つである。第一度近親者に潰瘍性大腸炎患者がいる人は、この疾患のリスクが高いことが知られているが、具体的な疾患関連遺伝子は特定されていなかった。クリスチャン・アルブレヒト大学(ドイツ・キール)のS Schreiberらは、潰瘍性大腸炎では初の全ゲノム関連解析を行い、そのリスクを高める数種類の遺伝子多型を報告している。非常に興味深いのは、免疫系のさまざまな細胞から分泌される因子であるインターロイキン10をコードする遺伝子のすぐそばの位置に遺伝子多型が発見された点である。大腸炎患者にインターロイキン10を投与すると、プラスの効果があることが初期の研究で報告されているが、このように治療に役立つと考えられる方法について、これ以上に詳細な評価は行われていない。
Schreiberらは、潰瘍性大腸炎の治療におけるインターロイキン10の有効性を検証するための臨床試験を行うことを提唱している。
doi: 10.1038/ng.221
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