注目の論文
古生物学:古代生物の彩りを示す証拠
Nature Communications
2012年5月9日
Palaeontology: Evidence that could colour the past
皮膚、体毛、羽毛や眼に含まれるメラニン色素が、始新世初期の化石魚類の眼に含まれていることを示す証拠が、今週、Nature Communicationsに掲載される論文に示されている。これまでの研究で、メラニンを含むと考えられる細胞小器官の化石が報告されており、そこから古代の生物種の色に関する仮説が導き出されているが、この細胞小器官の化石は、形状と大きさが細菌の細胞小器官の化石に似ているため、その正体を確認するためには決定的な証拠が必要とされる。
羽毛、体毛や眼の化石は、マイクロメートル大の構造体の炭化痕跡として保存されているが、これは細菌の残骸だと考えられていた。しかし、今では、この構造体がメラノソーム(メラニン色素を含む、色のついた細胞小器官)だとも解釈されており、化石生物の羽毛色のパターンを再現する可能性に道が開けた。そのため、この細胞小器官の由来を明確にすることが非常に重要な課題になっている。
今回、J Lindgrenたちは、二次イオン質量分析技術を用い、デンマークで出土した始新世初期の化石魚類の眼から単離された微小体を調べた。その結果、メラノソームに似た微小体に関連して、分子的に保存されたメラニンの存在が明らかになった。今回の研究は、化石材料に含まれる色素の解明を進めるうえで役立つ。
doi: 10.1038/ncomms1819
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