注目の論文
環境に持続する脅威の感知
Nature Neuroscience
2012年3月5日
Sensing sustained environmental threats
線虫C. elegansは、環境中の酸素濃度に応じた行動をとる。それにかかわる機構が、今週のNature Neuroscience誌電子版に発表された研究で述べられている。この結果は、動物が持続性の防御行動を起こす仕組みを知るための重要な一歩を表している。 生物はみな、環境から次々とくり出される情報を処理しなければならない。そのため感覚系は、そのうちの一番多い刺激にのみ短く反応したり、一部についてはすばやく無視したりする適応機構を進化させてきた。一方、ある程度の有害な刺激に対しては長期に注意力を持続しなければならないが、その持続性応答をなしとげる機構について完全にはわかっていない。 野生のC. elegansはきわめて低い濃度から非常に高い濃度に及ぶ酸素にさらされているらしい。酸素濃度が高くなったり低くなったりすると、線虫は速度や方向を変えたり、他の線虫と密集して集団で酸素濃度を下げたりする。Mario De Bonoらは、線虫のもつ、「持続性」感覚器と呼ばれ酸素濃度に間断なく応答する酸素感受性ニューロンを研究した。De Bonoは一連の遺伝学的手法を用いて、これらニューロンが持続性信号を生成するのに要する分子機構を解明し、この信号が下流の別のニューロンにどのように伝わり、短期あるいは長期行動を誘発するかを特定した。
doi: 10.1038/nn.3061
注目の論文
-
7月3日
ゲノミクス:古代DNAがエジプト人の祖先の謎を解明するNature
-
7月3日
進化:擬態は見る者の目に依存するNature
-
7月1日
心理学:AIが生成した応答を人間によるものと表示すると共感が高まるNature Human Behaviour
-
7月1日
加齢:慢性炎症はすべての集団において加齢と関連するとは限らないNature Aging
-
6月27日
動物学:笑い声を聞いたボノボは、報酬を期待する可能性が高まるScientific Reports
-
6月26日
生態学:バッタの群集行動を抑制Nature