【生態】ミツバチにマイナスの相乗作用
Scientific Reports
2012年3月23日
Ecology: A double-edged sword for honeybees
ミツバチに寄生虫を感染させ、殺虫剤をふりかけると、それぞれの要因の個別の作用によって、ミツバチの生存率に対する負の影響が予想以上に大きくなることが明らかになった。そして、この2種類のストレス要因に順番にさらされた場合でも同時にさらされた場合でも、この相乗効果が起こることが示唆されている。今回の研究は、生息環境中で殺虫剤と病原体に頻繁にさらされる生物において、その順序にかかわらず生じる潜在的リスクを明確に示している。研究の詳細を報告する論文は、Scientific Reportsに掲載される。
生物は、その環境中で、生物学的なものとそうでないものを含む、さまざまなストレス要因にさらされる。複数のストレス要因間の相互作用は、生物に相乗的な影響を及ぼすと考えられている。つまり、個々の曝露の蓄積から予想される影響よりも大きな影響を及ぼすのだ。しかし、こうした影響が、この2種類のストレス要因の作用順序に依存するのかどうかは明らかになっていなかった。
今回、Laboratoire Microorganismes: Genome et EnvironnementのN Blotたちは、セイヨウミツバチ(Apis mellifera)を用いて、この論点に取り組んだ。セイヨウミツバチは、経済的にも生態学的にも貴重な生物であるが、寄生虫と殺虫剤への共曝露も頻繁に起こっている。今回の研究では、寄生性微胞子虫Nosema ceranaeへの感染と致死量未満の広域殺虫剤フィプロニルの投与を順に行い、あるいは同時に行う実験が行われた。その結果、実験を行ったすべての組み合わせにおいて、セイヨウミツバチの生存に対する相乗的な影響が見られた。これは、生態学、寄生虫学と作物生産の研究者に有用な新知見かもしれない。
doi: 10.1038/srep00326
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