動物の行動:小さな魚が滝を登る
Scientific Reports
2026年4月3日
Animal behaviour: Tiny fish climb waterfalls
コンゴ民主共和国において、シェリアー魚(shellear fish;Parakneria thysi)が滝を登る様子をとらえた初めての記録を報告する論文が、オープンアクセスジャーナルScientific Reports に掲載される。著者らによると、体長5センチメートル未満の個体数千匹が、ひれを動かし、体を左右にくねらせながら、高さ15メートルの滝を登るのに約10時間を要するという。
このような垂直方向の登攀行動は、世界各地で遠縁の魚種において観察されているが、この行動に関する記録は不十分なことが多く、シェリアー魚に関する報告はこれまでおもに逸話的なものにとどまっていた。
Pacifique Kiwele Mutambala(ルブンバシ大学〔コンゴ民主共和国〕)、Emmanuel Vreven(南アフリカ水生生物多様性研究所〔南アフリカ〕)らは、2018年と2020年の計4回にわたり、コンゴ民主共和国のルヴィロンボ滝(Luvilombo Falls)の垂直な岩壁を登る数千匹のシェリアー魚を記録した。著者らは、降雨量の多い年の雨季の終わり頃(4月から5月)に、体長37~48ミリメートルの魚がこの行動を示すことを観察した。さらに、著者らは、シェリアー魚が滝の垂直な岩壁にしがみつき、胸びれと腹びれ(裏側にフック状の突起がある)を使い、体の後半部を左右に波打たせる動きで上方へと推進していく様子を記録した。
著者らの推定によると、1匹の個体がルヴィロンボ滝の頂上まで登るのに、平均で約9時間45分を要するという。この時間には、15分間の移動、30分間の短い休止、さらに、1時間ずつの休息を9回取ることが含まれる。また、特に張り出した崖を回避するために逆さまになって登る際、水流の噴射を受けると、魚が落下する危険性があることも指摘している。
著者らは、シェリアー魚がルヴィロンボ滝を登る理由として、大雨によって下流へ流された後に上流の生息地を取り戻すため、あるいはシルバー・バター・ナマズ(silver butter catfish;Schilbe intermedius)のような捕食魚が少なく、餌をめぐる競争が少ない地域へ移動するためである可能性を提唱している。さらに、著者らは、滝を登る順番を待つ魚が、違法な蚊帳を使用する漁師に捕獲される危険性があることや、乾季に作物の灌漑のために滝の上流で河川の流れが迂回された場合、ルヴィロンボ川の生物多様性が脅かされる恐れがあることを警告している。著者らは、生態系の包括的な保護を推奨している。
- Article
- Open access
- Published: 02 April 2026
Kiwele Mutambala, P., Ngoy Kalumba, L., Cerwenka, A.F. et al. Fish climbing in the upper Congo Basin (Central Africa), first report for the shellear Parakneria thysi on the Luvilombo Falls. Sci Rep 16, 8509 (2026). https://doi.org/10.1038/s41598-026-42534-8
doi: 10.1038/s41598-026-42534-8
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