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古生物学:トカゲのような生物の起源をさらに遡る

Nature

2025年9月11日

Palaeontology: Pushing back the origins of lizard-like creatures

Nature

英国デヴォン州で発見された約2億4,400万~2億4,150万年前の極めて小型なトカゲのような化石が、現存最古の鱗竜類(lepidosaurs)の仲間である可能性が浮上した。今週のNature にオープンアクセスで掲載されるこの発見は、爬虫類進化をめぐる議論に新たな決着をもたらし、この多様で巨大な動物グループの起源に光を当てる成果となる。

トカゲは、陸上脊椎動物で最も種が豊富なグループ、鱗竜類(Lepidosauria)に属する。このグループには約1万2,000種のトカゲとヘビ(有鱗目;Squamata)に加え、絶滅したムカシトカゲ目(Rhynchocephalia)の唯一の現生種であるニュージーランドのトゥアタラ(ムカシトカゲ;tuatara)が含まれる。有鱗目は、可動性の頭蓋骨を持ち、下側頭骨条が開放されている。これは顎筋の付着点を提供する骨構造である。しかし、トゥアタラはより硬直した頭蓋骨と閉鎖した下側頭骨条を有する。こうした相違点により、両者の共通祖先がどのような形態であったかを解明することが困難であった。

Michael Bentonら(ブリストル大学〔英国〕)は、デヴォン州の中期三畳紀ヘルズビー砂岩層(Middle Triassic Helsby Sandstone Formation of Devon)から発見された、現存する最古の鱗竜類より300~700万年古い、比較的完全なムカシトカゲ目の頭蓋骨と骨格を報告した。新種の頭蓋骨は、可動性のない頭蓋骨と開放性の下側頭弓、大きな円錐形の刺突歯、および比較的大きな眼窩など、複数の特徴を併せ持つ。これらの特徴から、この小型爬虫類は主に大型で素早い昆虫(ゴキブリやバッタなど)を捕食するために特化した昆虫食性動物だったと推察される。広い顎の開口域を備えていたことで、この爬虫類は獲物を素早く強い力で噛みつき、しっかりと押さえつけ、噛み切った後は舌で巧みに操って飲み込むことができたと考えられる。

Marke, D., Whiteside, D.I., Sethapanichsakul, T. et al. The oldest known lepidosaur and origins of lepidosaur feeding adaptations. Nature (2025). https://doi.org/10.1038/s41586-025-09496-9
 

doi: 10.1038/s41586-025-09496-9

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