注目の論文
一般的な腎疾患の危険因子
Nature Genetics
2008年9月15日
Risk factor for common kidney disease
末期腎疾患(ESKD)のリスクを高める遺伝子多型が、2つの研究によって初めて同定され、その成果を報告する論文がNature Genetics(電子版)に掲載される。末期腎疾患は、腎機能がほとんどすべて失われるという特徴があり、腎臓透析や移植が必要で、全世界で毎年数百万人が罹患している。
アメリカ人における末期腎疾患の罹患率は、欧州系よりアフリカ系の方が高い。こうした差を活用する方法として「混合マッピング(admixture mapping)」がある。この方法では、ゲノムを解析して、末期腎疾患患者での出現頻度が高く、アフリカ系の集団から遺伝したゲノム領域での出現頻度の高い多型を調べるのである。
ジョンズホプキンス大学(米国メリーランド州ボルチモア)のW-H-L Kaoと国立癌研究所(米国メリーランド州ベセズダ)のC Winklerがそれぞれ率いる研究チームは、この方法を使って、MYH9遺伝子の複数の多型が、末期腎疾患と特定のタイプの巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)に対する感受性とそれぞれ関連していることを明らかにした。MYH9遺伝子は、腎臓に発現する遺伝子で、非筋肉性ミオシンを構成し、細胞でさまざまな役割を果たすタンパク質ファミリーの1つがコードされている。この2つの研究の著者は、MYH9遺伝子の多型性が、アフリカ系アメリカ人において末期腎疾患のリスクを高めている原因のかなりの部分を占めているという見方を示している。
doi: 10.1038/ng.226
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