健康:ロックダウン解除後も身体活動レベルの低下が続くかもしれない
Scientific Reports
2021年9月2日
Health: Reduced levels of physical activity may extend beyond lockdown
イングランドにおける最初のロックダウン(都市封鎖)に関連した研究で、研究参加者の成人(3万5915人)の約29%について、ロックダウン期間中(2020年3~8月)とその後に身体活動レベルの低下があったことを報告する論文が、Scientific Reports に掲載される。また、この研究知見は、身体活動レベルが変化しなかった人の19%(全参加者の12%)の身体活動レベルが常にゼロだったことも示している。この論文では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)期とそれ以降に一般市民の身体活動を促進するための公衆衛生活動を強化する必要があるという見解が提示されている。
今回、Feifei Buたちは、UCL COVID-19 Social Studyの一環として2020年3月24日〜8月23日にイングランドで収集された成人(3万5915人)のデータを解析した。この期間中には、厳格なロックダウンとそれに引き続く制限措置の緩和があった。
この期間中に、直前の就業日に身体活動がなかったという申告をした人の割合が着実に増加した。研究参加者の28.6%が身体活動レベルの低下または不活発な状態の亢進を報告したのに対し、9%が身体活動レベルの上昇を報告した。その他の研究参加者は身体活動レベルの経時的変化がほとんどなく、不活発な状態になる確率の高い研究参加者(「不活発」)が11.6%、短時間(30分未満)と中程度の時間(30分~2時間)の身体活動を行う確率が中程度の研究参加者(「かなり活発」が22.2%、30分~2時間の運動を行う確率の高い研究参加者(「非常に活発」)が28.6%だった。
またBuたちは、身体活動パターンの経時的変化に関連する因子を突き止めた。高齢で、教育水準が高く、世帯収入が高く、2人以上の世帯に属しており、長期にわたって身体的・精神的健康に問題がない人は、不活発な状態を続ける確率が低かった。
Buたちは、身体活動に健康に有益な点があることが知られていることを考えると、身体活動の習慣の変化とそれに関連した因子を理解することが、COVID-19流行後の医療政策に有益な情報を提供する上で不可欠だと考えている。
doi: 10.1038/s41598-021-97065-1
注目の論文
-
10月8日
老化:人間の平均寿命の延伸が鈍化しているNature Aging
-
10月3日
神経科学:ショウジョウバエの脳の完全な地図Nature
-
9月26日
ウイルス学:牛のH5N1型インフルエンザは搾乳によって広がる可能性があるNature
-
9月26日
進化:哺乳類の顎関節の起源を調査するNature
-
9月24日
生態学:タコと魚の狩猟グループにおける共同リーダーシップNature Ecology & Evolution
-
9月19日
気候変動:将来の干ばつは予想以上に長期化する可能性Nature