注目の論文

人間行動学:フェイクニュースをシェアすることに対する考えを変えさせるには

Nature

2021年3月18日

Human behaviour: Changing views on sharing ‘fake news’

オンラインでニュース記事をシェアする人々に記事の見出しが正確かをよく考えるよう促すことで、シェアされるニュース記事の質が高まることを明らかにした論文が、今週、Nature に掲載される。ツイッター上での現場実験を含む今回の研究では、ソーシャルメディアプラットフォームで、ユーザーに対して情報の正確さを確認するように注意喚起することで、オンラインで目にするニュースの質が高まる可能性のあることが示唆された。

今回、Gordon Pennycookたちの研究チームは、人々がソーシャルメディア上で誤った情報を共有する理由を解明し、こうした行動を減らす方法を模索するために、実験参加者にニュースの正確さを評価させた上でそのニュースをシェアするかどうかを尋ねる調査実験をいくつか行った。最初の実験では、参加者のグループに一定数の実際のニュース記事(その半分は誤報)を提示して、見出しの正確さを判定させるか、見出しをシェアすることを検討するか否かを回答させた。その結果、真実の見出しは偽りの見出しよりも正確と評価されることが多かったが、その一方で、誤っているが政治的に意に沿う見出しについては、シェアすることを検討すると回答した人がその見出しを正確と評価した人の2倍だった。こうした結果にもかかわらず、大部分の参加者は、ソーシャルメディア上で正確な情報のみを共有するのが極めて重要だと回答しており、このことは、一部の人々が誤った情報を意図的に広めているわけではない可能性を示している。

次の実験では、見出しの正確さを考えるように促された参加者は、誤ったニュース記事をシェアする頻度が低下することが実証された。Pennycookたちは、誤った情報の共有が不注意によるものである可能性を示唆している。ツイッターのユーザー5379人を対象とした現場実験では、これらのユーザーに対して個々のニュースの見出しの正確さを評価するよう求めるプライベートメッセージを送ったところ、シェアされた情報源の正確さと質が向上することが明らかになった。

Pennycookたちは、さまざまなコンテンツが利用可能であり、ユーザーは自身がシェアした情報について社会的フィードバックをすぐに受け取るという現在のソーシャルメディアプラットフォームの設計が、人々が正確さを考えることを妨げているかもしれないと提案している。Pennycookたちは、ユーザーに情報の正確さを評価するよう定期的に注意喚起することで、オンライン上の虚偽情報の拡散を減らせる可能性があると結論付けている。

doi: 10.1038/s41586-021-03344-2

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