注目の論文
オリーブの木を救う空からの目
Nature Plants
2018年6月26日
Eye-in-the-sky to save olive trees
破壊的な細菌に感染したオリーブの木を、農園全体を監視する遠隔による新しい空撮法によって、目に見える病徴が現れるより前に特定できることを報告する論文が、今週掲載される。飛行機やドローンを用いるこの監視法は、感染の拡大を制御し、南欧の象徴的な樹木を救う一助となる可能性がある。
ピアス病菌(Xylella fastidiosa)は、一般的な吸汁性昆虫が伝播させる破壊的な細菌で、植物にさまざまな病害を引き起こす。オリーブの木はこの最近に特に脆弱で、感染すると枝がしおれ、葉が枯れたようになる。アメリカ大陸に多かったXylellaは、最近になって欧州でも発見され、地中海沿岸に広がっており、イタリアのオリーブ油産地であるプーリア地方では、多くの農園がすでに壊滅している。治療法が存在せず、病害の進展を止めるには感染した木を処分するしかないため、より効果的に封じ込めるには診断の早期化が重要である。
Pablo Zarco-Tejadaたちは、小型飛行機に搭載した特殊なカメラを用いて、農園のハイパースペクトル画像解析(全電磁範囲の監視)と熱画像解析を同時に行った。そして、地上ではオリーブの木のXylella感染を検査した。その結果、細菌感染は目に見える病徴が全く出現していないうちから遠隔撮影で検知でき、これによって対象農園全体のXylella感染オリーブを迅速かつ正確に特定できることが明らかになった。
doi: 10.1038/s41477-018-0189-7
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