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Nature Ecology & Evolution
2018年2月13日
Put aside the herbicide
除草剤耐性を持つ雑草が、作物の生産性と食料安全保障を脅かしている。雑草が耐性を発達させないようにするため、農業生産者は、異なる除草剤を併用したり、順番に使用したりする場合が多い。しかし、このような方策が無益と考えられることを示唆する論文が、今週掲載される。
Robert Freckletonたちは、ノスズメノテッポウ(禾穀作物と広く競争する高密度の雑草)の英国での発生状況と除草剤耐性に着目した。また、除草剤の使用状況とともに、それぞれの方法にかかるコストについて、農業生産者の調査も行った。その結果、ノスズメノテッポウは1990年以来、英国全土で分布域を広げて高密度化しており、それと並行して、使用される除草剤の量と種類も増加していることが分かった。これは、相次ぐ除草剤に対してノスズメノテッポウが耐性を発達させていることを示唆している。雑草の高密度化は除草剤コストの上昇と作物収量の低下につながり、大幅な減益を生じる。
研究チームは、耐性の増強が除草剤の使用回数と関係し、併用や循環的使用の戦略では耐性の発達が予防されないことも明らかにした。現在メーカーが推奨している使用法を速やかに変更し、今回の研究成果を反映させなければならないというのが研究チームの結論であり、雑草が新たな農薬をも克服するのは避けられないため、研究チームは、農業生産者が除草剤への依存度の低い雑草管理戦略に転換することを推奨している。
doi: 10.1038/s41559-018-0470-1
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