我々の仲間である真菌類は20億年以上にわたって存在しているのか
Nature Ecology & Evolution
2017年4月25日
Over two billion years of fungus among us?
一部の現生真菌類に類似した構造的特徴を示す24億年前の化石が、今週のオンライン版で発表される。その化石の繊維状の形態は、それが極めて古い真菌類であるか、さもなければ、これまで知られていなかったやはり真核生物系統樹上の繊維状生物であることを強く示唆している(真核生物とは、全ての動植物および真菌類を含み、細菌およびアーキアを含まない生物群である)。その化石は、真菌類としては10億~20億年、真核生物化石としては5億年だけ、従来の最古の記録をさかのぼるものであり、今回の発見は初期生命の発達を理解する上で重要である。
控えめの推定では、真菌類は約4億年前に出現したことが示唆されているが、近年の研究には、14億年前の真菌類の化石証拠と考えられるものが報告された例もある。真核生物の系統樹の枝は約27億年前に生じたことが示唆されているが、現時点で最も古い既知の真核生物化石(グリパニア・スピラリス;Grypania spiralis)は、たかだか19億年前のものである。
今回、Stefan Bengtsonたちは、南アフリカ・オンゲルック累層の深部まで掘削して得たコアから採取した化石を示し、顕微鏡および分光法を利用してその繊維の生物学的由来を確かめた。その結果、その化石は微細な生物の遺物であることが分かった(直径0.002~0.012 mm)。これはヒトの毛髪よりも細く、火山岩の内部の空隙に生息していた。真菌類は陸上で生まれたと考えられており、研究チームは、その生物が生きていた当時のオンゲルック累層が海面下にあったことの重要性を指摘している。そのような初期の真菌類の起源を示す化石は、同じ時代に他の重要な真核生物の枝も存在していたのかという問題も提起する。
doi: 10.1038/s41559-017-0141
注目の論文
-
5月9日
生物学:人為起源の地球規模の変化が感染症伝播リスクに影響を及ぼしているNature
-
5月8日
生態学:マッコウクジラの複雑な鳴音を調べるNature Communications
-
5月7日
遺伝学:APOE4遺伝子バリアントはアルツハイマー病の他とは異なる遺伝的タイプである可能性があるNature Medicine
-
5月3日
動物学:薬用植物を使って創傷治療を行う野生動物が初めて報告されるScientific Reports
-
5月3日
進化学:地球の磁場が弱くなっていたために地球上の生物の多様化が進んだのもしれないCommunications Earth & Environment
-
5月2日
人類学:長期的レジリエンスは苦難によって構築されるNature