注目の論文
慢性炎症性疾患の遺伝的危険因子
Nature Genetics
2008年8月11日
Genetic risk factor for chronic inflammatory disorder
慢性炎症性疾患であるサルコイドーシスの発症リスクを増大させる遺伝子多型が同定された。この研究成果を報告する論文が、Nature Genetics(電子版)に掲載される。
サルコイドーシスにかかると、ほぼすべての臓器に炎症が起こる可能性があるが、特に、小さな炎症性結節が肺やリンパ節にできることが非常に多く、息切れ、倦怠感、体重減少などの症状を引き起こす。このほどクリスチャン・アルブレヒト大学(ドイツ・キール)のS Schreiberらの研究チームは、サルコイドーシスを発症しやすくする遺伝子多型を同定するために、初めての全ゲノム関連解析を実施した。
この論文では、ANXA11遺伝子近傍の多型がサルコイドーシス患者に多く認められることが報告されている。ANXA11遺伝子には「アネキシン11」タンパク質がコードされており、この遺伝子は、関節リウマチ、ループスやその他の炎症性疾患に関与すると考えられている遺伝子ファミリーに属している。Schreiberらは、通常は細胞死を促進するアネキシン11が欠乏することで、活性化した炎症細胞が体内で存続するという望ましくない状態が生じるのではないかと推測している。
doi: 10.1038/ng.198
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