注目の論文
珪肺症とアルツハイマー病に共通する炎症経路
Nature Immunology
2008年7月12日
A common inflammatory pathway in silicosis and Alzheimer’s
アルツハイマー病に関係する化学物質と珪肺症という重い肺の病気にかかわる化学物質はまったく別のものだが、この2つが同じ経路で炎症を引き起こすことが明らかになった。この知見によって、これらの病気に共通する治療標的が見つかるかもしれない。
珪肺症の原因となる二酸化ケイ素などの多様な結晶類や細菌の毒素など、構造的にさまざまな数多くの分子が、細胞内のインフラマソームとよばれるタンパク質複合体を活性化することによって炎症を引き起こす。E LatzとD Golenbockは、二酸化ケイ素の結晶とアルツハイマー病に関連する型のβ-アミロイドタンパク質が、同じ経路で細胞に取り込まれ、炎症を引き起こすことを明らかにした。この過程では、細胞残渣を分解するリソソームという細胞区画から、カテプシンBというタンパク質が漏出する。このカテプシンBの放出が引き金となって制御できない免疫応答が起こり、珪肺症やアルツハイマー病に結びつく。
この情報伝達カスケードはほかにも痛風などの炎症性疾患に関与している可能性が高く、この経路が解明できれば、さまざまな病気の治療に共通する標的になるかもしれない。
doi: 10.1038/ni.1631
注目の論文
-
5月9日
生物学:人為起源の地球規模の変化が感染症伝播リスクに影響を及ぼしているNature
-
5月8日
生態学:マッコウクジラの複雑な鳴音を調べるNature Communications
-
5月7日
遺伝学:APOE4遺伝子バリアントはアルツハイマー病の他とは異なる遺伝的タイプである可能性があるNature Medicine
-
5月3日
進化学:地球の磁場が弱くなっていたために地球上の生物の多様化が進んだのもしれないCommunications Earth & Environment
-
5月3日
動物学:薬用植物を使って創傷治療を行う野生動物が初めて報告されるScientific Reports
-
5月2日
人類学:長期的レジリエンスは苦難によって構築されるNature