注目の論文
炎症性の痛みを消す
Nature Medicine
2010年4月12日
Resolving inflammatory pain
リゾルビンはオメガ3脂肪酸由来の天然脂質だが、これが炎症性の痛みの治療に使える新しい鎮痛剤になる可能性があるとの報告が寄せられている。リゾルビンが鎮痛剤として有効なのは、炎症を抑え、脊髄に作用して慢性の痛みを防ぐためかもしれない。
関節炎や術後痛のような炎症性の痛みは、組織傷害が引き金となって炎症を亢進させる化合物の放出につながり、これが脊髄内で作用して持続痛を引き起こす。
R-R Jiたちは、ある種のオメガ3脂肪酸から自然に作られる2種類のリゾルビンRvE1とRvD1をマウスに投与すると、炎症性の痛みの症状が緩和されることを発見した。RvE1は、痛みの緩和作用が親化合物に比べて1万倍も強いことがわかった。また、RvE1やRvD1と同じ受容体に結合する人工化合物ケメリン(Chemerin)も、痛みの症状を大いに緩和した。判明している抗炎症作用のほかにも、RvE1が脊髄内で作用して、ニューロンの持続的活性化(普通は慢性の痛みの原因となる)を防ぐことがわかった。このような鎮痛作用には、それに伴う痛み感受性変化はみられなかった。
doi: 10.1038/nm.2123
注目の論文
-
5月29日
社会科学:研究テーマの変更は被引用数の減少につながるかもしれないNature
-
5月28日
古生物学:クジラの骨から作られた最古の道具の証拠Nature Communications
-
5月27日
生態学:世界的に過小評価されている外来種のコストNature Ecology & Evolution
-
5月22日
微生物学:効果的な新しい抗マラリア薬は寄生生物を標的とするNature
-
5月21日
医学:非接触型無線モニタリングによる心臓不整脈の検出Nature Communications
-
5月20日
人工知能:大規模な言語モデルは、オンライン討論において人間よりも説得力を持つことができるNature Human Behaviour