注目の論文
永久凍土の融解による炭素放出
Nature Climate Change
2013年7月29日
Permafrost carbon
永久凍土の活動層は、毎年、融解と再凍結を繰り返しているが、北東グリーンランドでは、1996~2008年に永久凍土の活動層の厚さが年当たり1センチメートル以上増加したことが明らかになった。この結果を報告する論文が、今週オンライン版に掲載される。この活動層の厚さが増えると、融解した永久凍土での炭素貯蔵量の減少が予想されるのだが、これまでのところ検出可能なレベルでの減少が起こっていない。
今回、Bo Elberlingたちは、反復的な堆積物サンプリングを行って、グリーンランドの炭素貯蔵量の変化を評価した。今回の研究では、永久凍土サンプルを用いた培養実験が行われて、それによる二酸化炭素産生量の測定が12年間続けられ、気温上昇の長期的影響評価が行われた。その結果、富酸素条件下で急速な炭素放出が起こる可能性が判明したが、炭素が飽和状態に近い場合には、数十年間にわたって炭素の放出が起こらない可能性も明らかになった。
炭素放出量を予測する際には永久凍土における利用可能な酸素量と水と氷のバランスを考慮に入れる必要のあることが、今回の研究結果によって示唆されている。
doi: 10.1038/nclimate1955
注目の論文
-
6月26日
生態学:バッタの群集行動を抑制Nature
-
6月26日
天文学:新惑星の発見が宇宙の知識の空白を埋めるNature
-
6月25日
ゲノミクス:古代 DNA がカルパチア盆地の多様なコミュニティー組織を明らかにするNature Communications
-
6月20日
環境:化石燃料の埋蔵量を植林で相殺するには「克服しがたい課題」があるCommunications Earth & Environment
-
6月19日
動物行動学:蛾の航行は星空に導かれているNature
-
6月19日
気候変動:気候変動が作物生産に与える影響を評価するNature