注目の論文

自然の生物環境による水防

Nature Climate Change

2013年7月15日

Flood protection - Nature knows best

沿岸部の自然の生物生息地が海水準上昇と暴風雨から住民と財産を守っているという見解を示した論文が、今週オンライン版に掲載される。この論文では、米国における自然の生物生息地によるリスク低減を示す初めての全国規模のマップが示されている。このマップでは、サンゴ礁と植生の保全と回復による地域社会の防御可能性の最も大きい沿岸域が明らかになっている。

地球全体で見ると、沿岸部での洪水と海水準上昇は、21世紀なかばに著しく増加することが予想されている。米国は、最も人口密度の高い25郡のうち23郡が沿岸域にあり、多数の人々とその財産がすでに危険にさらされている。市町村の防災対策としては、海岸線の再設計による、さまざまな要因に対する防御がこれまで図られてきた。こうした解決法は、一部の状況下では、必要で、望ましいのだが、高額の工事費と維持費がかかり、水質低下や魚種資源の減少をもたらす。過去10年間の海岸保全事業では、沿岸部の生物生息地の保全と回復が考慮され始めたが、自然の防御機構が果たす役割を評価するための手段は限られていた。

今回、Katie Arkemaたちは、自然防御が完全に失われた状態のモデルを作製して、人々や財産にとっての危険を低減させている生物生息地を特定した。そして、Arkemaたちは、こうした生息地の減少によって、暴風雨と海水準上昇の被害が大きい海岸線の範囲が倍増し、海岸線から1キロメートル以内に現在居住する140万人が被害を受けやすくなると予測し、防御効果のある生物生息地が失われると、危険にさらされる貧困家庭と高齢者の数と総資産も倍増すると予測している。

Arkemaたちは、生物生息地の保全と工学的対策を組み込んだ戦略に関する研究を進めて、沿岸部での洪水と海水準上昇による被害のさらなる低減をめざすべきだと考えている。

doi: 10.1038/nclimate1944

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