注目の論文
火山ガスとマグマの複雑な関連を明らかにするガスの泡
Nature Geoscience
2018年8月7日
Bursting the bubble on the volcanic gas-magma relationship
火山から上昇するマグマとガスの関連性は、これまで考えられていたよりも複雑である可能性があり、ガスの組成は温度が下がるにつれて変化していることを報告する論文が、今週掲載される。噴火の際に大気中に放出されるガスは、マグマの生成源と火山活動の性質についての情報を得るために用いられており、今回の発見は、火山監視活動に大きな影響を与える可能性がある。
マグマが火山から地球の表面に上昇するにつれて、その圧力は減少し、これによって、マグマに溶解しているガスが泡となって放出される。マグマの組成と火山ガスは関連しているので、片方の組成を調べることで、もう一方も明らかにすることができる。しかしながら、この関連性は、これまで考えられていたよりも複雑なようだ。
Clive Oppenheimerたちは、ハワイの活火山であるキラウエアから放出されるガスの組成を、2013年の、脱ガスが穏やかな時期と活発な時期の両方について測定した。その結果、ガスの泡が地表に向けて上昇して大きくなると、温度が下がってガスの内側はマグマとの接触を失い、これによってガスの組成が急速に変化することが明らかになった。しかし、火山ガスの監視に基づいた災害と危険度の評価は、比較的長い時間にわたって平均化されたガスの組成に依拠している。Oppenheimerたちは、このように時間で平均化することで、災害評価の要因に含めるべき火山の振る舞いや脱ガスの力学的性質といった重要な情報が失われる可能性がある、と示唆している。
doi: 10.1038/s41561-018-0194-5
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