【気候変動】タンジーア諸島の潮位上昇
Scientific Reports
2015年12月11日
Climate change: The rising tide on the Tangier Islands
米国バージニア州チェサピーク湾にあるタンジーア諸島が、1850年以降に陸塊の大半を失ったことを報告する論文が掲載される。この研究では、海水準の上昇が現在のペースで進めば、タンジーア諸島が100年以内になくなり、島の住民は約50年後に島から退去せざるを得なくなることが示唆されている。
タンジーア諸島は、最も大きなタンジーア島をはじめ、Goose島、Uppards島、Port Isobel島などいくつかの島々によって構成されており、1700年代にヨーロッパ人の入植者が住み着いた。2013年現在のタンジーア諸島の人口は727人となっている。
今回、David Schulteたちは、タンジーア諸島に関して、1850~2013年に作成された航空写真と座標参照系を使用した地図を解析し、1850年当時の陸塊のわずか33.25%が2013年まで残ったことを明らかにした。その原因は、浸食と海水準上昇とされる。Schulteたちは、これらのデータに基づいて、タンジーア島嶼系の将来寿命を予測するためのモデルを構築した。もし土地損失と海水準上昇がこれまでのペースで続けば、Goose島は2038年に完全に水没し、Uppards島は2113年に消失するとSchulteたちは予測している。また、Schulteたちは、タンジーア島にあるタンジーア町が2063年には居住に適さなくなる可能性が高いという見方も示している。
Schulteたちの予測は、海水準上昇シナリオのうちでも控え目なものに基づいている。しかし、これ以上に急激な海水準上昇が起これば、土地損失の速度も上がり、タンジーア町からの退去時期も早まる可能性があるとSchulteたちは述べている。
doi: 10.1038/srep17890
注目の論文
-
6月5日
気候:海と大気の相互作用が2023年の北大西洋熱波をもたらしたNature
-
6月5日
気候変動:干ばつの深刻化を招く要因の評価Nature
-
6月3日
天文学:天の川銀河はアンドロメダ銀河との衝突を回避できるかもしれないNature Astronomy
-
5月28日
古生物学:クジラの骨から作られた最古の道具の証拠Nature Communications
-
5月27日
生態学:世界的に過小評価されている外来種のコストNature Ecology & Evolution
-
5月23日
気候変動:ペンギンの糞が南極の気候変動の影響を軽減するかもしれないCommunications Earth & Environment