Primer

重症先天性好中球減少症

Nature Reviews Disease Primers

2017年6月8日

Severe congenital neutropenias

重症先天性好中球減少症
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重症先天性好中球減少症は、好中性顆粒球の成熟障害を特徴とする、まれで多様な血液疾患群である。本疾患群は再発しやすく、しばしば生後数カ月の間に致死的な感染症を発症する。重症先天性好中球減少症では、好中球エラスターゼの遺伝子であるELANEの常染色体優性突然変異と顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)のシグナル伝達を活性化するタンパク質の遺伝子であるHAX1の常染色体劣性突然変異が最も頻度の高い病原性変異として認められている。本疾患群の病態生理学的機構は大規模な研究対象になっているが、まだ十分に解明されていない。さらに、重症先天性好中球減少症患者は、骨髄異形成症候群や急性骨髄性白血病を発症しやすい。大多数の患者で、CSF3R(G-CSF受容体遺伝子)の後天的変異のような悪性進行で見られる分子異常や、それに続く他の白血病関連遺伝子(RUNX1など)の変異が認められている。診断は、臨床症状、血中好中球数、骨髄検査、遺伝子検査、および免疫学的検査に基づいて行われる。治療にはG-CSFの連日皮下投与が選択され、血中好中球数の十分な増加、感染症の減少およびQOLの劇的回復が見られるようになる。代替療法として造血幹細胞移植が行われている。毎年の骨髄検査などの定期的な臨床評価による治療経過のモニターに加えて、染色体異常(7番染色体モノソミー、21番染色体トリソミーなど)や前白血病性体細胞変異の検査が推奨されている。

PrimeView
遺伝性血液疾患の一群である重症先天性好中球減少症では、骨髄中の好中球前駆細胞の成熟障害(顆粒球形成の停止)が認められる。このPrimeViewでは、この発生機構を中心に図説する。
本Primerの図解サマリー

doi: 10.1038/nrdp.2017.32

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