Primer

過敏性腸症候群

Nature Reviews Disease Primers

2016年3月24日

Irritable bowel syndrome

過敏性腸症候群
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過敏性腸症候群(IBS)は、有病率の高い機能性消化管疾患である。本疾患は、消耗状態に陥る例もあるが、軽症または中等度の症状を呈する例もある。最も重要なリスク因子は、女性、若年齢、および消化管感染の持続である。IBSの臨床症状には、他の身体症状、内臓症状および精神症状の併存をはじめ、腹痛または腹部不快感、便通異常および膨満感などがある。現在、IBSの診断は、他の器質性疾患を除外の上、症状に基づいて行われる。治療は、主な症状への薬物療法に加えて栄養療法や心理療法が行われている。発症機序はほとんど明らかにされていないが、上皮の透過性亢進、腸内毒素症、炎症、内臓知覚過敏、エピジェネティクスと遺伝的性質、脳腸相関の異常などが病因因子として考えられている。IBSはQOLに深刻な影響を及ぼし、患者と医師をはじめ医療制度に大きな負担を強いている。IBSなどの機能性腸疾患に関するわれわれの理解は、この10年間に顕著に進展した。このPrimerではこの点についても取りまとめる。

PrimeView
過敏性腸症候群は、軽症例もあるが、消耗状態に陥る場合もある消化管疾患である。このPrimeViewでは、他の要因をはじめ、腸管透過性、微生物叢、炎症および内臓知覚を含む複雑な病因論と分子病態生理学に関して、現在、理解されているものに焦点を合わせる。
本Primerの図解サマリー

doi: 10.1038/nrdp.2016.14

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