健康:非依存性大麻抽出物が慢性腰痛を軽減
Nature Medicine
2025年9月30日
Health: Non-addictive cannabis extract reduces chronic back pain
大麻抽出物VER-01は、深刻な副作用や依存症の兆候なしに慢性腰痛を軽減することが、Nature Medicine にオープンアクセスで掲載される800人以上を対象とした第3相臨床試験で明らかとなった。これは、大麻植物を基盤とした、依存性がなく臨床的に証明された初の慢性疼痛治療法となるかもしれない。
慢性腰痛は、世界中で5億人以上に影響を及ぼしており、これが障害や生活の質の低下の主要な原因となっている。しかし、治療選択肢は、長期的な心血管や消化器へのリスクを伴う非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs:nonsteroidal anti-inflammatory drugs)か、重篤な副作用と高い依存性を有するオピオイド(opioids)に限定されている。
Mathias Karstら(ハノーファー医科大学〔ドイツ〕)は、第3相臨床試験において、大麻草(cannabis sativa plant)のフルスペクトラム抽出物であるVER-01の安全性と有効性を評価した。この試験には、非オピオイド薬で十分な疼痛緩和が得られなかった慢性腰痛成人患者820名が参加した。VER-01投与群は、12週間の治療後、疼痛数値評価尺度(患者が自身の痛みを0~10点で自己申告する尺度)で1.9ポイントの疼痛軽減を示した。一方、プラセボ群では0.6ポイントの軽減にとどまった。VER-01投与患者は、その後6ヶ月間の試験延長期間において、さらに疼痛数値評価尺度において1.1ポイントの痛みの軽減がみられた。VER-01は、比較的良好な耐容性を示し、最も頻度の高い有害な副作用は、治療初期段階における一過性のめまい、過度の眠気(嗜眠)、および悪心であった。さらに、Karstらは、用量漸増、乱用、依存性、および離脱症状の兆候を認めなかった。
本知見は、VER-01がオピオイドにしばしば伴う依存リスクや有害な副作用なしに鎮痛効果を発揮することを示している。慢性腰痛の高い有病率とオピオイド危機の世界的規模を考慮すると、これらの知見は、臨床応用に向けた有望な非依存性の疼痛管理戦略を示唆している。
- Article
- Open access
- Published: 29 September 2025
Karst, M., Meissner, W., Sator, S. et al. Full-spectrum extract from Cannabis sativa DKJ127 for chronic low back pain: a phase 3 randomized placebo-controlled trial. Nat Med (2025). https://doi.org/10.1038/s41591-025-03977-0
doi: 10.1038/s41591-025-03977-0
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