注目の論文
【遺伝】ヨーロッパ系女性の多嚢胞性卵巣症候群の遺伝学的性質に関する手掛かり
Nature Communications
2015年8月19日
Genetics: Insight into the genetics of polycystic ovary syndrome in European women
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の遺伝学的性質を調べるための全ゲノム関連解析が行われ、ヨーロッパ系女性に特有の遺伝子バリアントが同定され、PCOSの生物学的性質の解明への手掛かりが得られた。この研究結果についての報告が、今週掲載される。
全世界で女性の最大15%がPCOSに罹患し、その健康と生殖能力に悪影響が及んでいると考えられている。PCOSは遺伝性が高く、このことは強い遺伝的影響を暗示している。また、PCOSは臨床的特徴が複雑なため、複数の診断基準が存在している。
今回、Geoffrey Hayes、Margit Urbanekたちは、ヨーロッパ系女性のコホートを対象とした全ゲノム関連解析を行い、米国立衛生研究所の基準を用いて、PCOSに関連した一塩基多型、そして、変異したと考えられる遺伝子を同定した。その結果、ヨーロッパ系女性に特有の2つの座位が同定され、中国人コホートの研究ですでに判明していた1つの座位が確認された。また、Hayesたちは、卵子の産生に必要なタンパク質をコードするFSHB遺伝子がPCOSに関連していることを発見した。このことは、ホルモンの調節において遺伝子バリアントが何らかの役割を果たしていることを示唆している。今回の研究により、人種間で微妙な遺伝的差異のある複雑な疾患の解明が進んだ。
doi: 10.1038/ncomms8502
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