注目の論文

編んで作った小さな反応器

Nature Chemistry

2009年3月9日

Weaving a web of tiny reactors

Nature Chemistry(電子版)によると、交差した高分子ナノファイバーの接合部に極めて小さな化学反応器を作ることが可能である。この方法は、1,500個という非常に少ない数の分子を反応させることができ、ゆくゆくは、薬品開発の初期段階に含まれるスクリーニングプロセスの一環として、新薬開発の手がかりをつかむのに利用されうるであろう。 極小スケールで反応を行うことができれば、エネルギー消費を抑え、一部の出発物質の毒性にかかわる潜在的問題を回避し、生成する廃棄物の量を最小限にできるため、非常に望ましい。 P AnzenbacherとM Palaciosは、異なる反応分子を含む非常に細い(髪の毛の100分の1)複数の高分子ファイバーを作製した。それらのファイバーを十文字になるように置いた後、加熱または溶媒蒸気にさらすと、ファイバーどうしが交点で融合し、それらに含まれる反応性化合物の間で化学反応を起こすことが可能になる。この手法は、わずか2個の分子(それぞれのファイバーから1個ずつ)の間で反応を起こせる程度までスケールダウンできる可能性がある。 A deMelloとR Woottonは、関連のNews & Viewsの記事において、AnzenbacherとPalaciosによって報告されたシステムでは「超高スループット反応スクリーニングが明らかに実現可能な目標となっている」と述べている。

doi: 10.1038/nchem.125

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