注目の論文
HCVを翻訳不能に
Nature Chemical Biology
2009年9月21日
HCV lost in translation
C型肝炎ウイルスが細胞装置を乗っ取って勢力を広げる能力を阻害する方法が、Nature Chemical Biology(電子版)に発表される。この研究成果は、ウイルス感染の有望な治療戦略となる可能性がある。
C型肝炎ウイルス(HCV)のRNAゲノムには、IRESとよばれる部位が存在する。IRESは宿主のリボソームが認識する部位で、RNAからウイルスタンパク質への翻訳に必要なものである。IRESには、このウイルスの複製を遮断する化合物の一群が標的とするサブドメインが存在する。ウイルスRNAの三次元構造に基づき、蛍光標識を利用することにより、T Hermannたちは、この種の阻害剤がIRESの立体配座を変化させてRNAをリボソームから切り離すことによって機能していることを発見した。
HCVをはじめとするウイルスが細胞装置を乗っ取る能力を阻害することは、ウイルス感染の治療戦略として有望である。
doi: 10.1038/nchembio.217
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