注目の論文
神経変性に環状ペプチド
Nature Chemical Biology
2009年7月14日
Cycling for neurodegeneration
神経変性疾患に伴う脳内の異常タンパク質の蓄積を阻害する新しい方法が、Nature Chemical Biology(電子版)に発表される。
アルツハイマー病やハンチントン病、パーキンソン病などの神経変性疾患は、有害と考えられる脳内のタンパク質凝集体の存在を特徴としている。この凝集体は異常なタンパク質間相互作用によって生ずるもので、物理的に目につくばかりでなく、細胞機能に重要なほかのタンパク質の自然な流れを遮断する。これまでの研究では、治療でこうしたタンパク質凝集体を阻害するために、低分子または酵素が利用されていた。環状ペプチドは、この種の疾患で進行に明確な異常を来すプロセス「タンパク質間相互作用」に作用するため、従来の方法に代わる手段となる。
S Lindquistたちは、神経変性疾患と同じ生化学的特性をもつ酵母のタンパク質凝集モデル系を分析した。研究では、酵母でタンパク質凝集による疾患誘導性の細胞死を防ぐ環状ペプチドが複数同定された。その環状ペプチドは、神経変性疾患の線虫モデルでもニューロンの変性を防いだ。この方式は、この種の疾患のメカニズムの解明、および将来の治療法の開発に適用可能と考えられる。
doi: 10.1038/nchembio.193
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