注目の論文

カンナビノイドの作用を分解する

Nature Chemical Biology

2008年11月24日

Uncoupling cannabinoid effects

マリファナの有効成分と同じ受容体に作用するエンドカンナビノイドの一種が痛覚をはじめとするさまざまな神経プロセスに関与していることを示す論文が、Nature Chemical Biology(電子版)に発表される。

神経系のカンナビノイドシグナル伝達は、記憶、食欲、および気分に影響を及ぼしており、治療標的として興味深い。こうしたさまざまな神経作用は、2種類のエンドカンナビノイド(カンナビノイド受容体と結合する物質)が誘導する。しかし、両物質のシグナルは同一の受容体を介して伝達されるため、1つのエンドカンナビノイドを特定の行動への作用と結びつけることは困難であった。

B Cravattたちは、アラキドノイルグリセロール(別名2-AG)というエンドカンナビノイドを分解する酵素の阻害剤を開発した。この酵素を遮断すると、マウスの脳では2-AGレベルが上昇し、痛覚低下、低体温、および運動低下が生じたことから、そのプロセスで2-AGが特異的な役割を担っていることが確認された。この阻害剤は2-AGの神経作用の研究を進めるための重要な手段になると考えられ、新薬設計の出発点となる可能性もある。

doi: 10.1038/nchembio.129

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