リアルタイムフィードバックでシャワーに使う電力を削減する
Nature Energy
2018年11月20日
Power spent in shower reduced with real-time feedback
シャワーを浴びている間のエネルギーの使用量をホテルの宿泊客にリアルタイムでフィードバックすると、エネルギー消費が少なくなることを示した論文が、今週掲載される。
エネルギー消費に対するフィードバック介入の影響を調べるこれまでの研究は、ボランティアの参加者に頼っており、こうした参加者は、一般の人と比べて省エネに意欲的で、各自に消費を減らす金銭的インセンティブがある家庭でのエネルギー消費に目を向けている可能性がある。フィードバック介入がエネルギーの節約に役立っている可能性をより広範に評価するには、介入によって生じるどのような省エネにも経済的利害関係のない参加者を無作為に選ぶ必要がある。
今回Verena Tiefenbeckたちは、スイスの6軒のホテルの宿泊客(公共料金を個別には支払わない)に、ホテル浴室のシャワーに取り付けられたスマートメーターを見せるという無作為化比較試験を行った。その結果、スマートメーター付きシャワーによって資源消費量がリアルタイムでフィードバックされる部屋の宿泊客は、水温だけが表示される部屋の宿泊客と比べて、エネルギー消費量が11.4%少なかった。Tiefenbeckたちは、こうした省エネ効果に基づき、ホテルでのスマートメーターの設置は、平均2.2年以内にその費用を回収できると見積もっている。これは、他の省エネ投資と比べてかなり速い。
このようなフィードバック介入は、スケーラブルで簡単に実行でき、初期の設置費が最小限で済むとともに、金銭とエネルギーの両方を節約できる可能性があり、今回の知見はその有効性を実証している。
doi: 10.1038/s41560-018-0282-1
注目の論文
-
4月4日
化学:生命の化学的起源がどのように形成されたかという謎の解明に向けた熱い流れNature
-
3月27日
機械学習:ベルギービールの風味を高めるNature Communications
-
3月22日
化学:ちょっと立ち止まって体臭の化学組成の違いを調べてみたCommunications Chemistry
-
2月28日
持続可能性:もっと環境に優しい方法でデニムを青く染めるNature Communications
-
1月24日
化学:複数の自律型実験室をつないで国際的な共同研究を進めるNature Communications
-
11月30日
天文学:新たに発見された6惑星系Nature