注目の論文
ドミノ的な薬物作用
Nature Chemical Biology
2008年8月25日
Domino drug action
Nature Chemical Biology(電子版)に発表される論文によれば、主として尿路感染の治療に用いられる抗生物質トリメトプリムは、意外にも経路上の2つの酵素を1つの薬物が阻害する「ドミノ効果」で作用しているという。この研究は、臨床利用されている薬剤のメカニズムに関して新たな認識をもたらすとともに、薬物作用の理解には代謝経路の検討が有望であることを強調している。
トリメトプリムは、ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)という細菌酵素を阻害することが知られている。細菌細胞内の葉酸関連化合物をすべて同時に測定する方法をとることにより、J Rabinowitzたちは、トリメトプリムがDHFRのほかにもう1つ、葉酸代謝に関与する酵素の活性を阻害していることを明らかにした。その酵素は、トリメトプリムが直接阻害しているわけではない。DHFRの阻害で基質のジヒドロ葉酸が蓄積し、これがその酵素を阻害するのである。これにより、トリメトプリムは酵素阻害のカスケードを成立させている。
doi: 10.1038/nchembio.108
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