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疾患の発症機序:2 型糖尿病と肥満症の病因に対する遺伝学的洞察

Nature Reviews Endocrinology

2008年1月15日

Mechanisms of Disease genetic insights into the etiology of type 2 diabetes and obesity

最近まで、一般的な糖尿病と肥満症の素因に影響する遺伝子多型の同定は進んでおらず、両疾患には稀である単一遺伝子異常による疾患遺伝子が 多く同定されていることとは対照的であった。しかし、近年の進歩により状況は変わりつつある。研究者は、検出力に優れたスキャンを用い、全ゲノムにわたって関連遺伝子の検出ができるようになった。2 型糖尿病に関しては、現在までに行われた6 報の高密度なゲノムワイド関連解析により、 糖尿病感受性に関連した高頻度な多型を有する遺伝子座の数が2 倍に増加した。これらの遺伝子座の1 つで、fat mass and obesity 関連遺伝子(FTO ) に位置するものは、主に脂肪量に対する作用を介して、糖尿病リスクに影響することから、体重および個人の肥満症リスクに影響する高頻度の多型 として知られる最初の存在となった。これらの報告は臨床応用に対し2 つの大きな道筋を示すものである。第一に、疾患の素因における新しい経路の同定(たとえば、2 型糖尿病の症例における亜鉛輸送や膵島細胞再生に影響するもの)により、新しい治療および予防的アプローチを開発する機会が生まれる。第二に、さらなる遺伝子多型の同定を試みる継続的な努力により、素因のパターンをこれらの病態に対する個々のテイラーメイド医療に応用できる可能性がある。

doi:10.1038/ncpendmet0723

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