Brief Communication

注意は視覚を損なう

Nature Reviews Neuroscience

2008年10月31日

注意してものを見ればもっとよく見えると思うのが普通だが、実際は、ある種の視覚刺激では集中し続けると知覚が悪化することが、Nature Neuroscience誌10月号の研究で報告されている。
 視覚刺激は明るい所と暗い所の差(コントラスト)がはっきりしているほど見やすい。以前の研究では、注意によって視覚刺激は事実上その差が増大して見やすくなることが示唆されていた。しかし明暗の感度は、コントラストの強い刺激を見つめる時間が長引くと減少する。LingとCarrascoは白黒の縞模様を被験者に見せた後、それが左右どちらに傾いているか報告してもらった。この課題は縞模様のコントラストが弱くなるほど難しくなる。被験者が特定の縞模様に注意すると、はじめのうちはコントラストの弱い縞模様でも課題をこなせることがわかった。しかし注意する時間が長くなると、同じ課題をこなすには前より縞のコントラストが強くなければならなかった。この結果から、特定の刺激に注意する時間が長引くと、結局は知覚が改善されずにむしろ損なわれることが示される。

doi:10.1038/nn1761

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