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細菌電池開発の進歩

Nature Reviews Microbiology

2003年11月1日

廃棄物中のエネルギー活用に微生物を利用しようという構想は1980年代に芽生えたが、細菌による廃棄物中の糖から電気への変換効率が低いなどの問題点があり、適用に向けた試みは進んでいない。今回、Nature Biotechnologyに掲載された論文で、近年単離された細菌、Rhodoferax ferrireducensを用いた効率のよいバイオ燃料電池の研究が報告されている。細菌電池の開発に明かりが見えてきた。 バイオ燃料電池は、細菌の特性を生かして有機化合物から取り出した電子を電子受容体に伝達するものである。電子の受容体としてグラファイト製電極を用い、伝達された電子から作られる電流がいわゆる'細菌電池'の電力となるのである。しかし、これまで研究対象とされた細菌類には、基質となる物質から電子を取り出す効率が低い、または電子を電極に運ぶために不安定な電子運搬メディエーターとなる化合物を必要とする理由で、燃料電池の寿命が短いなどで、欠点があった。今回は、Derek LovleyとSwades Chaudhuriは、グルコースを基質とし、R. ferrireducensを用いたバイオ燃料電池を開発し、これらの問題を克服した。これまで研究された細菌では10%程度であった電子輸送効率は80%以上と大幅に向上した。R. ferrireducensは正電極に直接電子を伝達できるので、電子運搬化合物を必要とせず、したがってコストが削減できるとともに燃料電池は長時間利用可能となる。 バイオ燃料電池にR. ferrireducensを用いることのもう1つの利点は、グルコースはもとより、さまざまな基質から電気を発生させられることである。製紙過程で多量に生成されるキシロースをはじめとするその他の炭水化物からも電子を取り出すことができる。 LovleyとChaudhuriがR. ferrireducens燃料電池から発生させた電流の量は現段階では少なく、実用に向けて改良が必要である。正電極に用いる材料の変更およびその表面領域を拡大するなどの取り組みによって電力生産量が上昇すれば、バイオマス廃棄物処理の有効な方法としての細菌電池の利用に一歩近づけるだろう。

doi:10.1038/fake735

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