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IL-23が疾病を押し進める仕組みを突き止める

Nature Reviews Immunology

2005年2月1日

インターロイキン23(IL-23)を欠くマウスを使った実験から、自己免疫性炎症際にこのサイトカインが重要な役割を果たしていることがわかってきた。IL-23のこうした影響は、IL-6、IL-17および腫瘍壊死因子(TNF)を生産する病因性のCD4+T細胞集団の分化を促進することによっていることが、今回The Journal of Experimental Medicineに発表された研究で明らかになった。

IL-23は独自のp19サブユニットと、IL-12のp40サブユニットからなるヘテロ二量体である。IL-12は、インターフェロンγ(IFN-γ)を生産するヘルパーT(TH1)細胞の分化に重要な働きをするサイトカインである。IL-12とIL-23は共にp40サブユニットを持つが、それぞれの機能は異なっている。例えば、IL-12欠失マウスは炎症性の自己免疫病にかかりやすいが、IL-23を欠くマウスはこうした病気に抵抗性を示す。そこで、LangrishらはIL-23が自己免疫性炎症を引き起こす細胞機構についての研究に着手した。IL-23欠失マウスは実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)に抵抗性を示すが、意外なことに中枢神経系(CNS)に浸潤する免疫細胞の数およびIFN-γを生産するCD4+T細胞でCNSに浸潤するものの割合は、対照となるEAE感受性野生型マウスと同じだった。しかしこれに対して、IL-23欠失マウスのCNS中で見られるIL-6、IL-17、およびTNFを生産するCD4+T細胞の数はより少なかった。

in vivoでプライミングしたCD4+T細胞をIL-23の存在下でin vitroで培養するとTHIL-17細胞のクローン増殖が起こるが、TH1細胞は増殖しない。このことは、IL-17生産性CD4+T細胞(THIL-17)の分化におけるIL-23の役割と一致するが、IFN-γを生産するTH1細胞に対するIL-23の役割とは合わない。これに対して、IL-12の存在下で培養すると、TH1のクローン増殖は起こるが、THIL-17は増殖しない。遺伝子発現解析からも、IL-12とIL-23がそれぞれ別のCD4+T細胞集団を誘導するという考えを裏付ける結果が得られた。IL-23に曝露された細胞はIL-6、IL-17およびTNFをコードしているmRNAの量が多いという特徴をもち、また他の炎症誘発性遺伝子の発現も増大する。

機能について見ると、IL-23によって増殖を促進されたCNS抗原特異的CD4+T細胞は、ナイーブなレシピエントに移植すると重篤なEAEを引き起こすが、IL-12によって増殖促進されたTH1細胞 を移植されたマウスでは疾患の徴候は見られなかった。IL-23を介して増殖したCD4+T細胞によって引き起こされた病気の重篤度は、移植されたTH1IL-17細胞の数と相関しており、人為的に誘導された病気の重篤度は、IL-17に特異的な中和抗原の投与によってある程度軽減した。

この研究によって、IL-23に依存して分化し、IL-6,IL-17およびTNFを生産する病因性CD4+T細胞集団が同定された。これから先の研究は、IL-23がこの病原性の高いT細胞サブセットを誘導する分子機構の解明に絞られるだろう。著者らは今回の結果が炎症性自己免疫病の治療に関して新たな治療標的を与えるものとなると考えている。

doi:10.1038/fake617

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