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細胞運命決定のもう1つのルート

Nature Reviews Molecular Cell Biology

2005年11月1日

非対称的におこる細胞分裂はさまざまな生物で研究されてきた。その結果、この過程の誘導には多数の仕組みが働いているらしいことがわかってきたが、動物では今までにPARタンパク質がかかわるもの1つだけしか突き止められていない。Emeryらは今回、RAB11エンドソームの非対称的な分布がかかわる、もう1つ別の経路についてCellに報告している。

キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)の感覚器官前駆体(SOP)細胞は、PARタンパク質による制御を受けており、PARはNumbとNeuralizedという2つのタンパク質の非対称的な局在を制御している。これらのタンパク質は2つの娘細胞pIIaとpIIbのそれぞれ異なる細胞運命の決定に必要とされ、Notch経路の成分のエンドサイトーシスによる輸送を制御することで、Notchシグナル伝達が確実にpIIa細胞でだけ活性化されるように働いている。

Emeryらは、エンドサイトーシスによる輸送がどのようにしてNotchシグナル伝達を調節しているのかを解明するために、いろいろなRAB GTPアーゼと緑色蛍光タンパク質(GFP)の融合体を発現させて、2つの娘細胞中でのエンドソーム区画の分布を調べられるようにした。時間差共焦点顕微鏡観察により、有糸分裂の間は全てのマーカーの分布状態が2つの細胞で同じであったが、細胞質分裂が完了した後にRAB11-GFPのみが非対称的な分布を示すとわかった。RAB11-GFPは片方の細胞では核周縁の細胞分裂面から遠い側に集合した。しかし、この非対称な分布もPAR-Numb-Neuralizedのかかわる機構に依存して起こっているのだろうか。もしそうでないなら、何によって生じるのだろう。

著者らは、いろいろな変異体でRAB11とPartner of Numb (PON)の局在状態を比較し、RAB11の非対称な分布はPAR経路に依存しないが、PONの非対称な分布は依存することを明らかにした。次に、いろいろな変異体株が集められているのと、RAB11局在の変異体によるちがいがスクリーニング済みなのを利用して、nuclear fallout (nuf)遺伝子を見つけだした。NUFは中心体中で濃縮されており、RAB11の結合相手の1つであるとわかっている。ショウジョウバエの胚では、タンパク質のリサイクリングにRAB11とNUFの両方が必要である。しかし、これらは本当にNotchあるいはDeltaのリサイクリングも調節しているのだろうか。エンドサイトーシス過程の修飾による分析と画像解析を組み合わせて、エンドサイトーシスで取り込まれたDeltaはRAB11特異的なリサイクリング・エンドソームを介して片方の細胞、つまりpIIbにだけ移動することがわかった。

Emeryらは、SOP細胞では2つの部分的に重複した経路によって非対称性が生じると考えている。pIIb細胞ではPARタンパク質がNumbとNeuralizedを調節することでNotchの抑制、あるいはDeltaの活性化を起こす。一方、pIIa細胞ではNUFとRAB11の阻害がDeltaがリサイクリング・エンドソームに入るのを妨げ、それによってDeltaの働きが阻害される。NUFの相同体は脊椎動物にもあってRAB11に結合する。とすると、次の課題は脊椎動物でこれらの相同体がNotchシグナル伝達を調節しているかどうか、また哺乳類の脳で非対称的な細胞分裂の調節を行っているかどうかを調べることだろう。

doi:10.1038/fake586

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