Research Press Release
溶液プロセスの工夫でペロブスカイト型太陽電池の効率向上
Nature Materials
2014年7月7日
ハイブリッドペロブスカイト膜(有機材料と無機材料からなる結晶構造を持つ)系太陽電池の光変換効率を向上させる方法が、今週のオンライン版に報告される。今回の研究成果は、低コスト高効率ペロブスカイト型太陽電池の製造における一歩前進といえる。
ペロブスカイト型太陽電池の効率は、シリコン系太陽電池の効率(20%~25%)に急速に近づいている。ペロブスカイト型太陽電池の長所の1つは、ペロブスカイトを溶液から形成できることである。従って、印刷法で太陽電池デバイスを作製できる可能性がある。しかし、溶液プロセスで生成するペロブスカイトは、通常、粒が小さく不均一であるため、光照射により膜中に発生した電荷を、効率よく収集することができない。
今回、Sang Il Seokたちは、ペロブスカイト形成プロセス時に溶媒を加える一連の手順を最適化することにより、加熱すると高密度均一膜に変わる結晶性中間化合物を得た。そして、これを利用して16%を超える電力変換効率を達成した。この値は、これまで科学文献で報告されたペロブスカイト型太陽電池の電力変換効率値よりも高い。その上、新しいデバイス構成を取り入れることによって、過去に効率の過大評価につながった可能性のある性能問題を回避できた。
doi:10.1038/nmat4014
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
遺伝学:ブチハイエナの遺伝的特徴に社会的地位が反映されていたCommunications Biology
-
環境:コロラド川の水の半分以上は農地の灌漑に使用されているCommunications Earth & Environment
-
加齢:老齢マウスに「若々しい」免疫系を取り戻させるNature
-
気候変動:極域の氷融解が世界の基準時刻に影響を及ぼす可能性Nature
-
生態学:温暖化と乾燥によってハチ類の多様性が脅かされているNature
-
機械学習:ベルギービールの風味を高めるNature Communications