Research Press Release
活動する線虫の脳
Nature Methods
2013年9月9日
生きている線虫(Caenorhabditis elegans)の頭部に存在する大多数のニューロンの活動を画像化する技術の開発に関する論文が、今週オンライン版に掲載される。その技術は、線虫の神経系の機能研究、および脳の機能と構造との関連付けに新たな可能性をもたらすと考えられる。
近年の神経科学研究は、ニューロンの大集団に関する詳細な脳活動地図を得ることをめざしている。脳全体の細胞の活動を観察すれば、脳が情報を保存して行動を制御する仕組みに関して、重要な情報が得られると考えられている。単純なモデル生物である線虫(C. elegans)は体内にニューロンを302個持っており、その解剖学的所在および結合性に関しては地図が作成されている。しかし、同時に個別の活動が測定されるニューロンの数は、ごく少数にとどまっていた。
Alipasha Vaziri、Manuel Zimmerたちは、画像化技術にさまざまな進歩を加えるとともに、ニューロン活動のレポーターを開発した。それにより、線虫のニューロンの約3分の1(線虫の頭部のニューロンの約70%を含む)の活動を示す画像が得られるようになった。
doi:10.1038/nmeth.2637
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
環境科学:火山活動が中世ヨーロッパにペストをもたらしたかもしれないCommunications Earth & Environment
-
人工知能:チャットボットは投票意向に影響を与えるかもしれないNature
-
社会科学:不安定なビデオ通話は、会話だけでなくそれ以上のものを損なうNature
-
天文学:衛星による光害が宇宙天文学研究を脅かしているNature
-
素粒子物理学:風変わりなクォーク四重項の定量化Nature
-
動物の行動:病気のアリはコロニーを守るため自ら犠牲となるよう合図するNature Communications
