Research Press Release

皮膚感染を制御する

Nature Immunology

2013年6月24日

マウスの皮膚の免疫応答を制御する重要なしくみが明らかになった。この研究は、薬剤耐性菌、特に院内感染問題となるMRSAなどの細菌が引き起こす重症の皮膚感染に対する新しい治療法につながる可能性がある。

Sandip Dattaたちは、薬剤耐性をもつ黄色ブドウ球菌(皮膚の病原菌として臨床上最も重要で、MRSA感染症の原因菌でもある)に対する免疫応答を調べ、特にIL-20ファミリーのサイトカインの役割りに注目した。これらのシグナル伝達分子は皮膚のケラチノサイトから分泌され、乾癬と関係があるとされているが、感染との関連についてはこれまで調べられていなかった。Dattaたちはマウスとヒトの皮膚試料を利用して、黄色ブドウ球菌感染に応答してIL-20ファミリーのサイトカインが分泌され、これが細菌抑制に必要な重要な因子IL-1の産生を阻害するため、他の免疫応答が抑制されることを発見した。皮膚でIL-20ファミリーのサイトカインを作用させると感染が悪化し、逆にその働きを阻害すると、黄色ブドウ球菌に対する免疫応答が改善した。

doi:10.1038/ni.2637

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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